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2016年9月13日 (火)

熊除けの鐘(中山道鳥居峠の思い出)

下記は2007/9/1にブログ掲載した拙著記事です。

山中の旧街道筋には江戸時代とほとんど変わらない自然いっぱいの場所が残っていました。
熊野古道では、幸運にもまだこの手の鐘打ちの経験はしていません。
名前に「熊」がついているくらいですので、たくさん居住されていることでしょう。
以下、過去記事数編の抜粋です。
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熊について ケータイ投稿記事

Bear2_2

「先づ熊除けの鐘を一打ち、心を落ち着け豊かな自然を楽しく。熊は山道にはめったに出て来ませんが、念には念を!
お互いにゴミ、火気に気配りし、自然を守り育てよう。」(立て看板より抜粋終わり)
 
詳しいことは歩いているので、書けません!あとで はあはあ・・・。
(「めったに出て来ない熊」が出て来る前に鳥居峠を走り抜けようと坂道であえいでいます。これは後で付記しました。)
 
熊について ケータイ投稿記事

熊の看板みてから、この杉林に一人で入りますか?
ちょっと勇気が~はあはあ・・・。

Bear3

 

熊の鐘その2 ケータイ投稿記事
鳥居峠超えである。
入口には「熊が出る」と書いてある。
この杉林に一人で入りますか?普通!
では二人なら入りますか?と自問する。

友が食われている間に、私に逃げる機会が生じるかも知れない。
しかし、その逆もある。
一人よりも、二人で入山するほうが、そりゃあ気が楽だ、などと考えた。
一人で食われようが、二人で食われようが、同じことではないですか?と、また自答する。
熊除けの鐘の前に立ち止まって、静寂の中、一人でこういう思索を続けている。
すでにもうまともな精神状態ではなかったようだ。
怖がっているのである。
しかし、一人だから引き返すって理屈はなりたたない。
ここでやめては男がすたる。
 
えーい!ままよ!・・・と、腹を据えてあの暗い杉林に入る。
 
しばらく登ると、始めて見る「熊の鐘!」が立ちはだかる。
「あの鐘を鳴らすのはワターシ♪」と、4~5回鳴らして、精神統一して登り始める。
 
例のリュックにつけた熊の鈴も総動員である。
坂は急で息が切れるが、こんなところで立ち止まりたくない。
火事場の馬鹿力を惜しみ無く出す。
メールを打つ余裕さえない。
 
一番ドラマティックなシーンなのに実況投稿ができない。
動画でやれって友人の声がするが、怖い目にあって、なお高い通信費を取られたくない。
怖い体験は熊の鐘その3で述べる。

Bear5  

先の薄暗くなったあたりに、熊除けの鐘の看板とその鐘がつりさげられていた。
熊の群れの住まいを通過する中腹にも、同じ鐘がつりさげられていた。
熊の団地への入山、退山の合図である。もちろん、熊たちへ知らせるための鐘の音である。

Bear6
鐘は3か所にあった。

熊の鐘その3 ケータイ投稿記事
2007/9/1(土) 午前 0:24
中山道を歩こう

Bear8


鳥居峠を降りると「奈良井宿」

ハアハアいいながら鳥居峠についた。
御嶽山を遥拝する神社を立てて、有名な人が鳥居を建立したことでこの名前がついたもの。
御嶽山まで登らずとも、登ったのと同じ御利益があると言う。
 
そこに「木曽義仲硯水」という湧き清水がでている。
 
飲もうか、飲むまいか?・・・迷った。
飲んだがために熊に出会うかもしれない。
このまま早く通り抜けよう。
 
しかし、結局は「義仲」の文字に惹かれて飲むためにそこにしばらく立ち止まった。
 
私の後ろには誰も歩いていない。
ごくりごくりと丁度飲み終わりかけた、その時!
 
ズサッズサッと背後に足音が聞こえた。
後ろには人はいないんだろう・・・!?
 
私は「末期の水」をごくりと飲み込み、アドレナリンを全身から吹きだしながら素早く振り返った。
そこには坊主頭の青年が小走りにこちらへ歩いて来るのが見えた。
私が(あなたは人間だよね、という意味で)「こんにちは」というと、彼も返事を返してくれた。
(内心、人間の声を出しながら、熊笹の坂を駆け下りて来てほしかった。無言でドサドサ走ってくるから・・・もう。)
彼は後ろ斜め上にある休憩所から、背の高い熊笹に覆われた隠れた小道を下って私の来た道に合流したので、私には突然熊笹から何者かが現われたように見えたのである。
 
事前に「水を飲んだら熊に襲われるかも」と頭の体操をしていたから、「ズサッ!」の音ですぐに脳が「熊だ!」と反応した。
 
これは「心外無法(しんげむほう)」の反対である。
「心内有法(しんねうほう?)」であった。
お化け屋敷の感覚と同じであった。
 
まだ修行が足りん!
峠を降りると写真の「奈良井宿」である。
JR奈良井駅前で蕎麦を食べたとき、店の奥さんに聞いた。
 
「熊は出るのですか?」
「ええでも、夏も見ますが、それよりは冬眠前の秋が一番多いです。」
 
「怪我した人もいますか?」
「ええ、・・・それは熊ですからねえ、・・・中には~」
 
鳥居峠も観光地なので、あまり生々しい話はしたくない様子だった。
 
やはりでるんだ!私の「火急登山」も無駄ではなかったようだ。
 
鐘は3か所にあった。
もう熊の鐘は結構だ。
 
上の写真は奈良井宿、東海道の関宿に並ぶ規模である。
私はこちらの方が宿場の長さが長いと感じた。
 
街道筋のおばあさん ケータイ投稿記事
 
旧中山道沿いの住宅の縁側に座るおばあさんの言葉です。

馬車1台が通れるくらいの狭い道路に面して、住宅の縁側が張り出してあり、そこで二人のおばあさんが涼んでいた。
 
私は通りすがりの旅人である。
年のころは85歳前後と思われる年上の背の曲がった小さなおばあさんの方が、傍を通り抜けようとする私を見上げて声をかけた。
「どちらから?」
本当は京都から歩いているのだが、ややこしい話は省いて、「今回は南木曽から来ました。」と答えた。
私は立ち止って肩から重いリュックを下ろしながらおばあさんの尋問を聞いた。
 
「どこへ行かれるの?」
できれば下諏訪までと答えると、
「丈夫な足だのう」「気をつけていきんなさい」
 
毎日痛いとしか言わない私の足であるが、明治か大正生まれと思われるかつての健脚の人に褒められると嬉しいものである。

きっと自分の足で奈良井宿から下諏訪まで歩いた経験を持っている人であろう。
 
足の豆の環境対応 ケータイ投稿記事

Bear4

木曽川の源流でテーピングを剥して石鹸で足を洗うとき、小指の豆を見た。
最初は豆は白くなり、内部に透明な水を生成する。
皮膚が内皮からはがれるから神経が刺激を受けるのだろう。
それを無視して歩くと、内出血してあずき色にかわる。
白と赤のまだら模様だ。
 
いまがその状態である。
 
そのころに豆の中の水が「にかわ」のように硬くなりはじめる。
過酷な環境の変化と、それが5日間もの長い間続くことに対して、皮膚が環境適応し始めたのである。それは遺伝的形質ではなく、獲得した形質だと中学校でならった。
蛙や雷鳥の保護色と似て、環境適応している。
 
にかわ質になると、そこは神経がなく、ナイフで削ってみたことが以前あるが、全くなにも感じない。
 
歩き始めて6日目の今朝は、初日と同じくらいのリズムで歩けるのだ。
人間の体は本当によく出来ている。
 
 
街道筋のおばあさん その2
2007/9/1(土) 午後 2:33
中山道を歩こう
2007-08-15 03:50:14携帯投稿時)
 
私の足が丈夫と褒めたあとで、おばあさんは首をかしげた。
 
「それで冬は雪が深いのじゃが、どうするのかいのー?」
 
すると、娘さんらしい、これもおばあさんが口を挟んだ。
「おばあちゃん! 冬は歩かんのよ」
「そうよのー、この辺は雪が仰山降るでなあ」おばあさんは納得してくれました。
 
しかし、次の質問が生じました。
午後二時頃の会話です。
 
「そんで下諏訪に行くかね。今夜には辿り着かんよー」
 
私は背中に背負った青いテントをおばあちゃんに見せながら、これで今夜は泊まることを説明した。
 
「テントがそんくらい小さいのか!?へー驚いた。」と目を大きく開いた。
すぐに合点したようで、
「一人が寝れればよいからのー」
 
私は、旅人の行く先の難儀を「我がこと」のように思いやり、心配してくれるおばあちゃんの真剣さが有り難かった。
 
「気イつけてお行きなさい。」
「ありがとうございます」
 
現代のこの国の大都市に住む中心世代は、このおばあちゃんの持つ「かけがえのない暖かさ」を喪失してしまっている。

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